カルティエ(Cartier SA)は、フランスの高級宝飾ブランド。「Jeweller of kings , king of jewellers 王の宝石商、宝石商の王」(エドワード7世の言葉)と言われる名門ブランドです。
創業して以来、ヨーロッパ中の貴族から愛され、絶大な人気と信頼を獲得していきました。特にイギリス皇室からも高く支持されており、当時国王だったエドワード7世が遺した名言として「王の宝石商であるがゆえに、宝石商の王」という最上級の賞賛に値する言葉を贈っています。
カルティエのダイヤモンドには、他ブランドとは一線を画した独自の審査基準が設けられています。
みなさまはカルティエと聞くとなにを一番にイメージするでしょうか?男性なら時計、女性ならジュエリーを思い浮かべるかもしれませんね。
日本での知名度
国内での知名度はブルガリ、ティファニー、にならぶ知名度で知らない人がいないといっても過言ではありません。
可愛いイメージよりも洗練された大人のイメージや高級感が強く幅広い世代に受け入れられているブランドです。(20代<30代以上)
ブランドの強み
創業当初からマーケティングスキルが長けていることで有名で日本人好みのジュエリーを作らせると国内ブランドにも負けないといわれています。1847年創業とブランドの歴史も長く、アールデコ、オリエンタル、ベルエポックなど時代の最先端のデザインを常に提案してきています。ヨーロッパ王族貴族の御用達として有名で高級なイメージが強くあります。
プラチナをジュエリーに使用したのは世界でカルティエが一番初めて!
1900年 銀(シルバー)の代わりにプラチナをセッティングに使用。今では、結婚指輪に使われる金属として一般的なのは「プラチナ」です。このプラチナ、実はカルティエが初めてジュエリーに採用し、結婚指輪や婚約指輪に使ったのです。
プラチナをベースにした指輪に宝石やダイヤモンドをあしらうことで、石の輝きが活かされるということを発見したカルティエ3代目のルイ・カルティエは、さらにプラチナ自体に繊細な加工を施し、指輪を芸術作品の領域に高めたのでした。それによって、「プラチナの芸術家」という賞賛も贈られたといいます。
1912年 最初のバケット(BAGUETTE)カットのダイヤモンドを創作
※バケットとはフランス語で「棒」の意味で、ダイヤで用いられる宝石を長方形にカットした形
バゲットカットダイヤモンドはスマートな縦ラインが際立ち、理知的な印象を与えます。
それではここからは代表シリーズについて触れていきたいと思います。
カルティエ パンテール誕生
1933年、カルティエは、ココ・シャネルやバレンシアガらと交流のあった女性デザイナー、ジャンヌ・トゥーサンと一緒にアフリカ・サファリを巡り、帰国後、”自然回帰”をテーマに「パンテール」をデザイン。
パンテール(パンサー)をモチーフにしたこのシリーズは一世を風靡します。
イギリスのウインザー公爵夫人が1949年に注文した152.35カラットのカシミールサファイアをプラチナにセットしたパンテールのブローチはあまりにも有名です。
初めて登場して以降、パンテールからインスパイアを受けた個性や力強さを解き放ったアイテムを多く展開しています。その姿をかたどったデザインはもちろん、抽象化したり、豹柄のパターンをグラフィカルにあしらったりと、さまざまなバリエーションを生み出し、メゾンを象徴するアイコンの一つになっています。
古くからヨーロッパでは、パンテールは勇気の象徴。また、香りの良い息を吐いて人や獣をおびき寄せるという言い伝えもあると言います。そのコレクションは時代の変容に合わせつつも、カルティエのシンボルとして今も変わらず人気を誇っています。
有名なラブシリーズの由来 独占と束縛
1969年、カルティエのデザイナーが古代の戦士が自分の妻に浮気ができないよう、“貞操帯(ていそうたい)”というものを身につけさせたという昔の伝説からインスピレーションを受け、カルティエラブブレスを創作しました。1970年代にニューヨークで生まれたLOVE ブレスレットは、メゾンのジュエリーデザインのアイコンです。オーバル型のブレスレットは手首にしっかりとフィットし、取り外すには同じくゴールド製のスクリュードライバーが必要です。情熱的に、鮮烈に、強固に愛を封じ込めるジュエリーです。
現在でも愛されているラブブレス。
カルティエのラブブレスは、ネジを留めるデザインが特徴です。ネジで留めるデザインをしていることからカップルを強く繋げるという意味合いをこめて、カルティエのラブブレスをプレゼントする方も多くいるようです。(一番細いノーマルタイプで定価約50万円です)
カルティエのラブブレスを購入すると、ラブブレス専用のマイナスドライバーが付いてきます。
このドライバーを使わないと、カルティエのラブブレスは外すことができません。同シリーズのラブリングもあります。シンプルなデザインにビスモチーフのデザイン、一目でカルティエと分かるシリーズです。
セレブリティも愛用者多数(匂わせ?)
象徴的なデザインコードに満ちたユニセックスのLOVEコレクションは、約40年前から2000年代のジュエリーを予見していました。2000年代に入るとイメージがぐっと変わります。カルティエはいつの時代も進化を続けているのです。
「トリニティ」は英語で「3重、3つ組、3つ」
24年に誕生したトリニティ リング。カルティエを象徴するこの指輪は、発表当時から女性だけではなく、ゲイリー・クーパーや詩人ジャン・コクトーなど、男性をも魅了してきました。
3つのカラーのピンクは「愛情」を、イエローは「忠誠」を、ホワイトが「友情」を象徴しています。3つのリングが躍動し、絡み合う…。身につける人それぞれが自由に解釈できる、時を超越したこのジュエリーが、スタイルとエレガンスを具現したアイコニックなコレクションを生みました。
そんな「トリニティ」ですが、2024年に誕生100周年を迎えました。1世紀もの間愛されているモデルをカルティエは作り出しています。
世代を超えて受け継がれ、想い出と共に人生を彩る瞬間がしっかりと刻みこまれています。 カルティエといえばこのモデルを思い起こす方も多い、アイコンモデルです。
Cドゥカルティエ
カルティエのイニシャル「C」をモチーフにしたコレクションです。シンプルかつ綿密に計算されたエレガントなデザインが特徴的。カルティエのロゴを施したタイプなど、洗練されたスタイルです。
ディアマンレジェ
定番人気のある、一粒ダイヤモンドのコレクションです。メゾンの宝石職人が厳選した、最高品質のダイヤモンドをベゼル・セッティングしたジュエリー。ピンクサファイアの一粒タイプの展開もございます。
エタンセル
メレダイヤモンドを配した豪華なコレクションです。エタニティやパヴェなど、ダイヤモンドをびっしりと敷き詰めたラグジュアリーな雰囲気です。シンプルなフォルムにダイヤモンドが輝き、大変華やかな印象です。
ジュスト・アンクル
1970年代にニューヨークで誕生したコレクションです。フランス語で「1本の釘」という意味で、釘が曲線を描いたフォルムに仕立てたモチーフです。活気あふれる自由なニューヨークの街から着想を得ています。男女兼用でこちらは若い年代層にも人気あるコレクションです。
クラッシュ・ドゥ・カルティエ
スタッズやビーズを施した、独創的なデザインのコレクションです。立体的で躍動感のあるフォルムを生かした、モダンなスタイルが特徴的。シャープな印象で、スタイリッシュに装えるジュエリーが揃います。
ジュエラーとしてのこだわり
カルティエが王侯貴族から愛されてきた大きな理由は、ジュエリーの素晴らしさにあります。
それは、現代でも変わりません。
例えばダイヤモンドは、GIA(アメリカ宝石学会)の品質規格4Cの中で、最高級グレードのものを採用します。
4Cとはカラット、カラー、クラリティ、カットで、全てがトップクラスとなると非常に稀少性が高くなり、価値も上がります。
さらにカルティエは、独自の「ダイヤモンドエキスパート」という規格に基づき、最高級グレードのダイヤモンドの中から極上のもののみを選りすぐっています。
カルティエのダイヤモンドは価値が落ちづらいですが、ダイヤモンドの素材自体が上質なことが大きいでしょう。
もちろん土台となるプラチナやゴールドも選りすぐられており、ダイヤモンドをより輝かせるだけでなく、上品でカルティエらしい美しさを演出します。
また、カルティエのジュエリーは動物、植物、ハート、果ては釘をモチーフにしたものまでと様々なデザインがあります。
そのデザインを実現しているのが高い宝石彫刻技術やエナメル加工、細工技術です。
これらをカルティエお抱えの職人たちが、時間をかけて丁寧に専用機械を用い、1石1石手作業で手掛けていきます。
デザイナーたちが「これを表現したい!」と思ったジュエリーを実現するために、職人たちの技術力は必要不可欠です。
カルティエはこの仕事を重視し、職人育成にはとりわけ力を入れていると言います。
これが、完璧に近づくための唯一の方法であると。
カルティエの華麗なジュエリーからは思いもよらない質実剛健な側面があってこそ、他のブランドの追随を許さず確固たる今の地位を築いているのでしょう。
参照 カルティエ 公式→ https://www.cartier.jp/