エルメスには様々な種類の素材が使われております。
同じモデルのバッグでも使用している素材で印象が一変します。
ただ一言で素材といっても元々は馬具を専門に扱っていたエルメスは革に対して並々ならぬ拘りと知識、卓越した技術力を誇るブランドです。エルメスのアイテムが国王妃や世界的な女優をはじめ、著名なセレブリティに愛されるのはそれゆえ。その素材とは、それはすべてを知るのが困難なほどの種類です。
そしてカラーとの組み合わせとなると何百通り にもなります。
今回はエルメスの代表的な素材をについて触れてみましょう。
1.トゴ
正式名称 ヴォー・クリスペ・トゴ
主にバッグ類に使用される雄仔牛の革です。
定番のバッグやお財布などの小物類に幅広く使用されています。
表面の細かいシワ模様と、張りがある革質が特徴です。
型押しの溝が深く、他の牛革素材と硬さを比較すると中間くらいです。傷や擦れに強く、型崩れを起こしにくいのも特徴です。そしてトゴのといえば血筋ですが、まれに血筋が見受けられないものもございます。
補足として年式によって、型押しの仕様が異なります。
革はひとつひとつの表情が異なりますが、その中でもトゴは年式によって革質が変化していく傾向があります。
近年の型押しに比べると以前の年式の方が型押しのデコボコが盛り上がって見えます。
最もエルメスを代表する素材です。
2.トリヨンクレマンス
雄牛の革を使用した素材です。
トゴと比較すると目が少し大きく、若干柔らかい質感が特徴です。
こちらも定番バッグや小物類などに幅広く使用されています。
そしてこちらも年式によって、表面のしわの大きさが変化しています。
近年製のものはしわの一つ一つが細かくなっていることが分かります。
年式が新しいトリヨンは表面のしわが細かくなっていることがある為、一見しただけではトゴかと錯覚する程です。(質感で確認出来ます)
~補足~トリヨンクレマンスの中にもバリエーションがあり比較的近年に製造されたモデルに使用されております。~
★トリヨンノビーヨ….トリヨンクレマンスより目(腑)が細かく、若干柔らかい。ほんのりとマットな仕上げで細かいがしっかりしたおうとつが特徴。
使用モデル バーキン、バーキンタッチ、ボリード、リンディなど
★トリヨンモーリス・・・程よく柔らかく、キメが細かい。ナチュラルな印象。
使用モデル ピコタン、エヴリン、ヴァンキャトル
3.エプソン
正式名称 ヴォー.エプソン
雄牛の革に細かい型押し加工を施した素材です。
張りがありかっちりした素材感から、型崩れしにく、傷がつきにくいことが特徴です。
以前は小物類に多く使用されていましたが、バッグの展開も増えもはや定番素材といってもいいのではないいのでしょうか。
エプソンといえばやはり発色の良さが挙げられます。同じカラーを使った場合でも明度が高くはっきりとした印象になります。
またしっかりと堅い素材ですのでベーシックカラーの場合だとフォーマル感が高く感じられます。
4.スイフト
正式名称 ヴォースイフト
雄仔牛の革素材で、しなやかで柔らかくなめらかな手触りが特徴的です。
発色が良く淡色のカラーはより柔らかく、濃度が高いカラーは色味がはっきりする型押しの無いスムース素材です。
難点としてはデリケートな素材の為傷がつきやすいことです。ファーストエルエスというよりは何本か目に選ばれる通好みな素材です。
5.ボックスカーフ
ボックスカーフは、生後数か月の雄仔牛の革で目が細かく、表面にガラス加工でツヤ感を出している非常に美しい光沢を持つ素材です。一方向へ流れる繊細なシワも見られます。動物の生皮から不要なものを取り除きやわらかくなる「なめし液」に浸す時間を短くすることで高価な革の質感と硬さを出しているのが特徴です。ボックスカーフといえばやはりケリー。カッチリとしたデザインにカーフの光沢が映えます。(そしてケリーはなんとカーフ1枚仕立てです。エルメスは世界中で最も優れた素材だけを選び、惜しげもなく使用しています。)
ここからは他の素材について触れていきたいと思います。
山羊
シェーブル
腑(目)が細かく僅かな光沢がある希少性なヤギ素材です。
シェーブルの中にもシリーズがあります。
★シェーブルコロマンデル 軽量で程よく柔軟性があり、腑の模様が左右対称です。
★シェーブルミゾル 雌子ヤギの革で比較的小物などに使われることが多く、さらに腑が細かい印象です。
エキゾチックレザー
クロコ・リザード・オーストリッチ
1.最高級素材 クロコダイル
エルメスが扱う革の中で最高級素材のクロコダイル。クロコレザーは細かく均等に揃った革目と鱗のひとつひとつにある小さな斑点も特徴的です。
クロコダイルといえども様々な種類が展開されています。ワニ革素材のクロコには、革目が細かいポロサスやポロサスよりも革目が大きいニロティカスなど、さまざまな種類があります。
エルメス最高峰といえばやはりバーキン、ヒマラヤ。両サイドのスモーキーグレーが中央にかけてパールホワイトにグラデーションする様子がその名のとおりヒマラヤ山脈を彷彿とさせるカラーリングの為この名称となりました。
Λ クロコダイルポロサス
ポロサスにも種類があり、加工によって変わります。宝石の瑪瑙(めのう)で磨く「リセ仕上げ」で美しく艶を出したもの、フエルト素材と機械で革表面を研磨し艶のないマットに仕上げたものなど、好みの光沢感で選べます。そして、革目が細かく、左右対称になっているのも特徴の1つです。斑が全体に小さめで、中央から脇に向かって、さらに細やかになります。
エキゾチックレザーには種類が一目で分かるようにマークがございます。
Λポロサスのマークはこちらです。(マットでも艶有りでもマークは同じです。)
・・ニロティカス
ナイル川流域に生息するワニを使用。ポロサスと比べ、中央の竹斑から丸斑に切り替わっても、斑の大きさがあまり変わらないのが特徴。そして丸みのある長方形も特徴のひとつです。ポロサスより鱗が若干大きくなっています。
□ アリゲーター
ミシシッピ川に生息するワニの革を使用。縦長のすっきりとした斑をもち、シャープな印象です。斑の中に穿孔(毛穴)がないのも大きな特徴です。
完成したアイテムはさらに厳しい目で品質チェックが行われます。
大変希少なクロコダイル素材ですが、エルメスバックに適したクオリティに合わなければ作られることはありません。 エルメスが求めるクオリティに適したクロコダイル素材が見つかるまで何年もかかることも多くあるということです。
リザード
– もしくは= トカゲのこと。美しく規則的に並んだ繊細な班と艶かな光沢が特徴の高級素材。模様を生かしたそのままのリザードナチュラも存在する。(マークは変わらず)
オーストリッチ
ダチョウのこと。美しい水玉模様のような羽毛を抜いたあとのクイルマーク(毛穴)が特徴。柔らかな手触りで使うほどに手になじみ、また革質も丈夫な高級素材です。独特な雰囲気があります。
終わりに
いかがでしょうか?また、近年から使用を始めた素材もあることから、エルメスのあくなき探求心を垣間見ることができたのではないでしょうか。
このように代表的な素材だけでも奥深いエルメスレザーの世界。
レザーの中でも牛、雄牛、雌牛、子牛、水牛と分類され、さらにそこから型押し(模様)を施すものとスムースレザー(模様無し)とさらに広がってゆきます。
エルメス独自の特殊素材ヴィブラートやクリノラン(馬のしっぽ)など多岐にわたる展開です。
さすが他のブランドの追随を許さない一流メゾンのエルメス。
その奥深さ、クオリティは一言では言い表せないほどです。
そしてエルメスは単なるブランドではなく、そのアイテムはすべて芸術品だと言われています。
専門職人による手仕事やエルメスに対する愛情や誇りは職人から職人へと技法とともに引き継がれており、常に現在進行形です。 エルメスの職人が自分たちの仕事に誇りを持ち、愛情を持って作ってきたからこそ、 エルメスのアイテムに多くの人が魅了されるのだと思います。
次回はその素材の奥にまた少し触れていこうと思います。では、また。
monobankの買取店舗 北九州 下関
査定相談、モノの相談、モノの買取でご利用下さいませ♪